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『コードギアス 復活のルルーシュ』ネタバレ感想 - ハッピーエンドに上書きされたギアス

2月9日公開の『コードギアス 復活のルルーシュ』を観てきました。

私はこの映画の在り方についてはけっこう批判的で、テレビ版できれいに完結していたものをまたほじくり返してまでやることは必要ないと考えている側でした。

しかしながら、実際に映画を観てみると、エンタメ作品としては非の打ち所がないほどの傑作であり、ファンの喜ぶであろう要素を余すことなく取り入れながら、『コードギアス 反逆のルルーシュR2』のビターエンドとも言える結末を完全なハッピーエンドへと昇華させていて、鑑賞後の感覚も最近のアニメ映画の中では間違いなくナンバーワンと呼べるレベルであり、単純に見てよかったという感想を持てたのは自分でも驚くほどです。

まずネタバレとして一番気になるところであるルルーシュの生死について言及すると、彼は完全に生存していたという形に。実はシャルルから不完全ながらコードを継承していたが、同時にギアスも使用できるという曖昧な状態であったと説明され、冒頭から中盤までは幼児のような廃人のような描写がなされていました。中盤では完全に魔王ルルーシュとして復活。死んでいると考えられていたルルーシュは、民間人であるシャーリーを介してC.C.のもとに渡り、一緒に旅をするようになっていたという設定になって、シャーリーの生存こそがルルーシュにとっても生存フラグであったと解釈できるような形になっており、総集編3部作での改変が活かされていました。

大まかなあらすじ

平和になった世界だったが、ナナリーとスザクがテロリストに鹵獲されてしまう。その後、ルルーシュの抜け殻と旅をしていたC.C.とカレンたちがそのテロを行ったとされるジルクスタン王国の内部で鉢合わせとなり、一緒に行動することになり、監獄へと潜入し、そこでルルーシュが完全復活を果たし、その監獄に囚われていたスザクも救い出し、ジルクスタン王国への本格的な抗戦を始める。
コーネリアらと合流したルルーシュたちは、ナナリーを救い出すための作戦を開始。ルルーシュ指揮の下、作戦は成功するかに思われたが、敵の死に戻りのギアスにより形勢は不利に。ルルーシュはそれでもC.C.の手を借り、敵の能力を看破し、ナナリーを救い出す。
そしてナナリーとの別れを果たしたルルーシュはL.L.と名乗り、C.C.と添い遂げるのだった。

感想

ルルーシュは死んでいて、生きているかのようにみせかける方法でごまかされるのかとも思っていたのですが、あまりにも普通に生存していて、ある意味拍子抜けとも言えるレベル。序盤は廃人のようになっていますが、中盤では完全に復活し、テレビのときのように策略を巡らせ活躍します。しかし相手に上回られ絶望するという彼らしさも見せてくれます。それからまたC.C.の言葉により復活を遂げるという流れはめちゃくちゃきれいだしまとまっています。ルルーシュは最終的にルルーシュランペルージの名前から取った、L.L.と名乗り、C.C.と添い遂げるというこの上ないハッピーエンドでした。冒頭から結末に至るまで二人の世界という感覚。

この映画は随所にファンサービスが散りばめられており、本当に観ている人を楽しませよう喜ばせようという意欲に溢れている作品だったと強く思います。冒頭のナイトメアフレーム戦がテレビ版初期の描写を彷彿とさせたり、ルルーシュとC.C.が乗り込む機体が複座型であったり(結末を考えれば当然か)、テレビ版ではめちゃくちゃ批判にさらされた扇の行動をゼロに対して直接謝罪させ、自らの命を以って贖罪としようとするシーンがあったりしたのはファンの心に寄り添っているのだなという感覚を強くさせます。

あと面白かった点としては、冒頭でカレンたちとC.C.が再会を果たすシーンで、「相変わらず雑だな」というセリフがあるのですが、これがこの作品全体を自己批判するように皮肉めいて感じられたのがとても可笑しかったです。コードギアスという作品は本当に勢いで持っている作品であると思いますので、細かいところに突っ込みだすと、それこそ枚挙にいとまがなくなるのですが、そういう部分を「」という言葉で表現されていたように感じました。今作もかなりご都合主義的な面は見え隠れしています。ハッタリで全てができている作品とも呼べるでしょう。それを逆手に取って活かすようにルルーシュが敵のギアスを看破するために取った手段が、最終的にはハッタリをかけて直接駆け引きするというものだったのは、非常にこの作品らしいなと思わされました

今作は登場人物ほぼ全員に見せ場があるというのもすごい点です。登場するキャラクターがテレビ版以上にそのキャラクターらしい活躍をしてくれるシーンを見られて、本当に満足度が高い作品に仕上がっています。元々は敵同士であり、共闘することはなかったコーネリアや黒の騎士団メンバーやカレンとスザクがルルーシュの指揮のもと、1つの目的に向かって戦う姿はやはり感慨深いものがあります。ロボで戦わないメンバーもきっちりと見せ場があるのはさすが。声を演じられていた田中一成氏が逝去された玉城も結構活躍していました。声優は檜山修之に変更となっていましたが、やはりオリジナルキャストで見たかった。

ギアスの見どころにはKMFの戦闘シーンもあると思いますが、今作もご多分に漏れず、大半はCGで描かれる形になっています。ガンダムであってもほぼCGで描かれてしまう時代では、手描きのロボは絶滅寸前だなと感じました。そしてギアスを代表する機体であるランスロットと紅蓮がそれほど活躍しなかったのは少し物足りなかったかも。圧倒的な別格感が欲しかった。機体も別にアルビオンや聖天八極式のままでいいだろと思うのですが、新規造形(といっても所詮はマイナーチェンジの印象)の機体で、なぜかオプションマシマシの姿もありますし、商業主義や拝金主義が透けて見えすぎるのはやはりいい気がしませんでした。絶対プレバンで追加パーツとか売るんだろうなとしか思えない。まあこの映画自体が商業主義の塊ですが…

まとめ

ルルーシュを復活させて、C.C.と添い遂げさせるという結末が描かれる映画です。きれいにスッキリとした口当たりのハッピーエンドになっていて、ギアスという作品が本来持っていたエグ味のようなものがまったく感じられませんでしたが、エンタメ作品としての完成度は圧倒的であり、ぜひ多くの人に見てほしいと思える娯楽映画に仕上がっています。まあこれはシャーリー生存の世界線の話ですし、あくまでもパラレルという感覚で私は捉えることにしました。