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アニメ『RErideD 刻越えのデリダ』10話感想 - ドナのアイデンティティーに関する問題について

2018秋アニメ『RErideD 刻越えのデリダ』第10話「手放したもの」感想です。

前回あらすじ
タイムライドの影響により世界が変化していく。戦争は激化し、デリダたちは犯罪者として追われる身となっていた。カシエルのおかげで少しの時間は稼げたものの、度重なる戦闘負荷でヴィドーの怪我が悪化してしまう。そこで、ヴィドーを休ませるため、デリダたちは、グラハムで深い森の中へと逃げ込む。休息の間、いつもは明るく振る舞うマユカが、珍しく落ち込んだ顔をしている。気になったユーリィが、マユカに声を掛けると……。

第10話あらすじ


©RErideD partners

2055年2月18日、研究員アンゼリカはDZNA2058の対話による人格モデルの形成実験に参加していた。2058は実験が進むにつれ人格と容姿が人間らしく変化して行くように見えた。そして実験16日目、2058の姿はアンゼリカを完全にコピーしたものとなる。そして2058は自身をアンゼリカと名乗り、アンゼリカには提供者の意味の“donor”からドナという名前を与える。アンゼリカは現在の殺し屋ドナだった。

実験17日目、2058は声もアンゼリカのものをコピーし、思考までトレースするようになる。自身のアイデンティティーが崩壊したアンゼリカは2058にナイフで斬りかかろうとするが、逆に2058に刺されてしまう。


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カシエルの情報を元にイェーツ工科大学を訪れたデリダたち。そこでかつての恩師マレーネと再会する。マレーネとマージュが初めて出会ったのはネイサンの葬儀だった。そこでマージュはトラウト理論を完成したいとマレーネに相談していた。その後独学で理論を勉強したマージュは、半年前、マレーネの元を訪れ、トラウト理論の資料を閲覧した。


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マレーネは過去、DZNA2058の対話による人格モデルの形成実験に携わっていた。そこでデリダたちはアンゼリカの実験を知る。オートマタとの対話実験はオートマタだけでなくアンゼリカに大きな影響を与えていた。姿形が変化したのはアンゼリカの思い込みであった。アンゼリカは負傷した身体で2058を退け、施設に火を放ち姿をくらました。マレーネにはアンゼリカと2058の行方は杳として知れない。ドナは復讐のためにアンドレイを襲撃していた。


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デリダは自分の研究は他人を犠牲にばかりすると苦悩するが、マレーネは研究を正しい道へと導くよう最後まで見届けることが科学者の責任だと語る。デリダはネイサンの残した資料を調査し、エッフェルスベルクの電波望遠鏡の実験資料を発見。そこがマージュの居場所だと確信するのだった。

感想


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ドナの過去が明らかになりました。ネタバレになるので名前は伏せますが、某傑作長編ミステリーのような叙述トリックが使われていて、やるなあと思ったのですが、人格形成実験時にいわゆる神の視点で様子が描写されていたのは少し気になりました。ただアンゼリカ以外の人物は一切顔が登場していなかったので、アニメ的演出での叙述トリックは成立しているのかもしれませんが、もし完全にフェアに行くのであればアンゼリカの一人称視点で実験の様子を描くともっと良かったです。

アンゼリカはドナでいいんでしょうが、2058の残骸も見つかっていないようなので、その部分は気になります。もしかしたらドナの義手は2058の腕を流用したものでドナはオートマタの人間のアンドロイドなのでしょうか。そうであれば、カシエルの使ったDZジャマーがドナに効いた理由が説明できます。

自分と全く同じ記憶や思考を持った他人は自分とどう違うのかはしばしばSFのテーマになり得ますが、発狂して相手を始末するというのは非常にシンプルにしてリアリティーのある回答です。ただその後に一個体となるというのは、面白いなと思います。クローン作成の目的には自分のリペアにするためというのもありますから、ある意味理に適っているかもしれません。

ドナのアンドレイに対する復讐がなぜ今なのかというのも、カシエルたちにやられて痛みを感じて、2058の影が顕在化してきたためと考えられます。今までは完全無欠の殺し屋だったので、痛みを感じるということは少なかったのでしょう。あと2話でデリダvsアンドレイは無理じゃないかと思っていたのですが、ドナが始末してくれてピースは残すことなく消化して終わりそうで良かったです。