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アニメ『ダブルデッカー ダグ&キリル』10話感想 - あまりに重すぎるテーマ…社会派サスペンス小説かと

2018秋アニメ『DOUBLE DECKER!ダグ&キリル』第10話「はずれ刑事 純情派」感想です。サブタイトルの元ネタは「はぐれ刑事純情派」です。

前回あらすじ
次期市長選の有力候補、ウィリアム・ドーマンの娘がエスペランサに誘拐された。何としても娘を助けたいと願うドーマンのため、ダグたちは危険な救出作戦に臨む。

第10話あらすじ

負傷したダグはしばらく療養することに。キリルがお見舞いに行くと、ガスという子供が金をちらつかせキリルを買おうとする。ガスはキリルを女だと思っていた。キリルに絞られた後も、色んな女にナンパをするのはやめなかった。その様子を見ていた父親のジェフリーは、咎めることもなく退屈しているから遊んでくれて嬉しいとダグに語る。ジェフリーの具合は芳しくなく、命尽きるのを待つのみであった。

一方で、ディーナとケイは捜査のために院長のもとを訪れる。どうやらアンセムを投与しているという疑いがあるらしい。院長は関与を否定するが、アンセムの使用に対しては否定的ではなく、アンセムの作用機序をディーナたちに問う。するとキリルがスラスラと説明し、ディーナたちを驚かせる。

キリルは実はめちゃくちゃ頭が良かった。大学時にキリルが書いた論文もアップルが一目置いていた論文で、ディーナやケイはキリルがバカじゃないなんて、なんだか納得できない気持ちになるのだった。

キリルは再びガスと出会い、ガスをキリルのアパートへと連れてくる。そこでガスがナンパをしているのは、今まで何の楽しみもなかったジェフリーに女性と遊ばせてあげたいという気持ちからだった。その優しさに感銘を受けるキリルたちだが、ガスにもっとやるべきことがあると説く。

キリル「勝手に決めんな!寂しい人生だなんて勝手に決めんな!そんなふうに息子に思われてるって方が寂しすぎんだろ!金があるとか、女にモテるとか、楽に生きれるとか、そういうのはもちろんあった方がいいけど、極論、問題じゃないんだ!たとえ会えなくても家族が元気で生きてりゃ十分なんだよ!

キリルはダグに呼び出される。死にそうになってた男が外に元気に歩き回っているという。しかしその男からはアンセム反応はあるもののオーバードライブ反応がない。その男を連れて院長のところへ向かうと、院長はジェフリーにアンセムを投与しようとしていた。

その施設では、アンセムを投与し対AMS弾の5つの薬剤の配合条件を調べるために人体実験をしていたのだった。院長に詰め寄るキリルだったが、院長はジェフリーに甘い言葉でアンセムを使うように囁く。しかしジェフリーは化け物になることを拒否し、ガスの父親で最期までいることを選び、アンセムを踏み潰す。

後日、ガスは模擬結婚を父親の前で披露する。相手は女装したキリルだった。そしてガスは父親のような人間に将来なると誓い、2人は抱き合うのだった。

感想

抉られるような話でした。感動してしまった。こういうの卑怯だわ。アニメで感動することなんて私はほとんどないんですが、これは流石に良い話すぎる。

キリルがガスに語りかけるシーンめちゃくちゃ良かったです。最近は金持ってりゃ偉いとか女にモテりゃ偉いとかそういうしょうもない価値観が蔓延ってますが、言って欲しいことはキリルが全部言ってくれたような気がします。そしてキリルは姉と離れ離れになった自分の境遇があるから、皮相上滑りじゃなくて、余計にその想いがガスに伝わるんですよね。キリルも自分の頭の良さを鼻にかけることもなく、人間的に成熟しています。

そして今回のテーマは医療大麻。これはアニメでやるのにあまりにも難しいテーマ。日本では医療目的であっても大麻は完全に悪とされていますが、海外では解禁されているところも多いです。このアニメでは最後は使うべきでないという答えを示したのですが、医療大麻とアンセムは全く違うものだとしても、これはちょっと踏み込み過ぎているような気がしないでもありません。

実際のところ、多少ストーリーが緩めになったとしても答えを出さずに終わってもよかったのかなと思いました。人体実験をしている院長らは断罪されるべきですが、医療目的のアンセムの可能性というのを少しでも残しておくことによって、勧善懲悪的な物語からもう少し考えさせられるような社会派な物語になったかもしれません。前々回はLGBTという問題に対して取り組んでいましたから、現代社会の問題意識をガジェットに使うだけでなく、積極的に物語に取り込んでいってもいいのかなと感じました。

次回はどうやら総集編らしいです。