アニメ『あかねさす少女』7話感想 - ひとりじゃないって素敵なことね
2018秋アニメ『あかねさす少女』7話「Tu n'es pas seule.」感想です。
前回あらすじ
ひとりが好きな少女、クロエ。彼女の一時の楽しみは、本を読みながらカフェオレを飲むこと。そんな彼女とラヂ研のメンバーが、次にたどり着いたのは見渡す限り海のなか、一人ひとつ小さな島が与えられるというフラグメントだった。この世界の自分の家で、クロエは音楽や本を楽しむ。そんな中、VRマシンを立ち上げた彼女は、映し出されたフランスの光景に、自身の過去を見た。ひとりでいることが、真に豊かだったあの頃。だが、そんな彼女も日本に来てから、別の価値観が生まれる。ラヂ研のみんなといる時に感じる、その不安とは……。
第7話あらすじ
クロエはこの世界は端末を通して洗脳しようとしているということに気付き、明日架たちに手紙を何度も送る。しかしながらその手紙は明日架に届く前に廃棄されていた。明日架の方もクロエから手紙が戻っていないことを怪しみ、アスカはビニールボートでクロエの島に行こうと考える。しかしながら、波が高くてクロエの島までは辿り着けなかった。
カプリフォーンに夢中になった奈々たちに明日架は業を煮やし、カプリフォーンを取り上げ海へと投げ捨てる。依存症となった奈々たちは海にも飛び込まん勢いだったが、ユウに実力行使で止められる。そのユウの持ってきたエンジン付きボートでクロエを助けに行こうと考える。カプリフォーンがなくなった奈々たちは正気を取り戻し同乗する。
クロエはパソコンに、この世界の自分が残したメッセージを発見する。そこではホワイトゴートによる洗脳で一人きりにされていることが語られる。無力化にはホワイトゴートにウィルスを送り込む必要があるが、その任を請けた優2は行方不明となり、明日架2はなんでも擬人化してしまうイタい子にされてしまった。世界を救って欲しいと、クロエ2はクロエにウィルスが入ったメモリユニットを託す。
明日架が合流し、ホワイトゴート島へと向かう。そこにいたのはAIによって再現された過去のクラッター達だった。Duplicateしたアスカと奈々、みあがクラッター達と戦い時間を稼ぐが、以前のクラッターよりも強化されており苦戦を強いられる。3人の戦う姿に「一人きりじゃない自分」を受け入れたクロエはイコライズの地平に達する。
クロエ「君たちといると僕はとても楽しくて、でも自分がなんだか弱くなったような気がしてた。だから時々試したかったんだ。一人きりでいても平気な自分を。だけど分かったよ。僕は弱くなったんじゃない。一人が好きな僕が君たちといることで、できることが増えたんだ。君たちがいるから僕は一人になっても帰ってこられる…!」
イコライザーとなりサーバーに飛び込んだクロエは様々な障害を持ち前の分析力で潜り抜けながら最深部に到達してメモリユニットを差し込む。ホワイトゴートが無力化され、捕まっていた人々も解放された。クロエは、この世界のクロエのノートに「Tu n'es pas seule.(君は一人じゃない)」と書き残し、元の世界へと帰っていった。
感想
このブログ記事のサブタイトルは天地真理の「ひとりじゃないの」です。若い世代はエヴァQのマリの鼻歌で知った人も多いのでしょうか。
全体的なストーリーは言うことないです。クロエがラヂ研の仲間たちの大切さに気付き、「一人でいない自分」を受け入れてイコライザーとなり、世界を救う。すごく綺麗な流れなのですが、せっかくのSFチックな舞台だっただけに、もう少しこの世界を掘り下げて欲しかったです。例えばどのように洗脳しているのかだったり、ボートによる力づくではなくAIを逆手にとって合流方法だったり、この世界はなぜAIに支配されたのかだったりと言う部分です。
今回の1話でやるには尺が足りないので、前回との2話分にガチガチに詰め込んででもいいです。前回サービス回も入っているので厳しかったのだと思いますが、サービス回を別の話に持ってきてでも描いて欲しかった。折角SF考証に山本弘さんがいて魅力的なフラグメントなのに、中途半端なのがもったいないです。
戦闘シーンはアストラルモジュールが一個しかないから奈々とみあが順番に戦うのが笑ってしまった。徹底的に生身の人間を襲う方が楽だろうに…特撮によくいる変身終了まで攻撃しない律儀で折り目正しい敵みたいです。これ現実的には作画のリソースを削減するために1人ずつなんでしょう。5体入り乱れての戦闘は大変だよね…
クロエのイコライザーは戦闘型というより偵察型のようです。喋るAIが付いているメカは前衛型よりも後衛型なイメージ。AIがヌグルスというクマなのでZガンダムのティターンズのボリノークサマーンを思い出しました。
台詞では、明日架たちがAIに洗脳されかけるクロエを助けたときのシーンの明日架の台詞
クロエがどんなに一人が好きだって言っても一人きりになんてさせないんだから
が心に残りました。明日架はふざけてるように見えて人の心を揺さぶる何気ない台詞が良いですよね。他の例ではみあに「ヒーローになってみない?」とか。ただここのシーンなんでクロエがVR付けたのかの理由が描かれていないせいで、どこからどこまでが洗脳下の描写なのか分かりにくくなっています。このブログのもう一人のライターのかいぶつは全部VR内の出来事だったんじゃないかと思ったと言っていましたが、この場合メモリユニットがどっから湧いたかなどの説明ができなくなります。
またユウがクロエの笑顔にキュンとするところも印象的。節操のなさ感がよく出ているというか、『あかねさす少女』はキャラクターの作り方が上手いなあと感じます。しかしクラッター退治には同行しないというのがユウの存在の謎の伏線になってきそうです。
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