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アニメ『やがて君になる』5話感想 - 男性がいる中でも女性を選ぶは描けているか?

2018秋アニメ『やがて君になる』第5話「選択問題/続・選択問題」感想です。

前回あらすじ
生徒会選挙も終わり、晴れて生徒会長となった燈子。沙弥香と教室に向かう途中で「やっと始められる。」と、かねてから考えていた活動を示し合わせ進めようとしていた。放課後、上機嫌で侑を教室まで迎えに来た燈子だが、生徒会室へ一緒に歩いていると無意識のうちに侑との距離が近くなってしまい・・・。

第5話あらすじ

選択問題


©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

中間試験のために生徒会活動は一時休止となる。しかし侑は聖司に「小糸さんもちゃんと七海先輩のことが好きなんだね」といわれたことが気になって気もそぞろ。侑は自分はただのお人好しで燈子でなくてもそうしただろうと思っていた。

侑(やっぱり違う…と思う


©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

そんなことを授業中考えていると、こよみが居眠りで叱られる。彼女は花澤文庫文学賞に応募する小説を書いていた。こよみは侑に応募前に感想を聞かせて欲しいという。


©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

侑は中間試験に向けて図書室で勉強しようとする。すると聖司の後ろ姿を見つけ一緒に勉強しないかと誘うが、聖司は燈子の姿を見て遠慮する。なし崩し的に燈子と一緒に勉強することになった侑。燈子は侑に勉強を教えてあげ、明日も一緒に勉強しようと約束する。

侑(私は一緒に勉強する相手が欲しかっただけで、それは別に七海先輩じゃなくてもいい。私は選ばない。ドキドキも浮かれたりもしない。でも、でも…選ばれるのが嬉しくないわけじゃない。

続・選択問題


©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

テストが近付き図書館が人でいっぱいになった。侑は先輩になれるという理由で家へと誘う。好きな人の部屋で緊張する燈子だったが、つい侑のベッドをくんかくんかしてしまう。


©2018 仲谷 鳰/KADOKAWA/やがて君になる製作委員会

2人は侑の姉の彼氏のヒロくんと作ったチーズケーキを食べながら会話を弾ませる。女ばかりの家だからヒロくんが来ることで父も喜んでいるという侑に燈子は複雑な表情を浮かべる。その後勉強を始めるが、好きな女の子の部屋に呼ばれて心ここに在らずな燈子に侑はあきれる。

燈子「分からないでしょ!いつ誰が小糸さんのこと好きになるか!
侑「そんな私相手にそうそう…
燈子「例えば…槙くんとか…

侑「確かに私は七海先輩じゃなきゃいけない理由はないと思うけど、だけど私のことが一番必要なのは七海先輩なんだろって、それは分かるから。先輩が一緒にいてって言うならそうしますよ。
燈子「そういうところが心配なんだけど…でもそういうところが好き。

侑(私だって一人じゃないもん…一人じゃない…一人じゃないけど…

感想

感想は書かないかもしれないと前回の感想で書きましたが書きます。燈子に対して辛辣な意見を吐きましたが、それはやっぱり私が侑を好きだからです。侑は自分を好きになる人はいないと言っていますが、侑を好きになる人はここにいます。お人好しで優しくて、気さくで表情豊かで。燈子のことが卑怯だと思うのは純粋な嫉妬だったんだろうと思います。作中で言えば紗弥香が侑に良い感情を持っていなかったのと同じです。普通アニメは聖司のようなポジションで観る人が多いですし、そういう感想が多いでしょう。でも私は侑のことが好きで、燈子に嫉妬している立場で見ているし、違う視点で見ることで違う意見も出てくると思っています。友人には、燈子が女になった少女漫画だと言われました。まあ確かにそういうもんかなとも思います。

それで今回の感想を書きますが、まず前半は侑が自分は燈子のことを好きじゃないと理由を託けて否定しているように見えますが、これはやっぱり実際にあんまり好きになっていないんだと思います。「選ばれるのが嬉しくないわけじゃない」には好きの萌芽を感じますが、実際別に好きじゃなくても告白されたら嬉しいなんてのはよくあることで、これを以って恋に落ちたとは言い難い。

まあ侑は恋を知らないので、恋の状態になったとしても認識できない状態ではあるのですが、逆に言えば恋へのバイアスもないので自分の心に正直と言えば正直でしょうから、心情の吐露が心情の全てとも解釈できます。まあ未知な恋という概念が怖くてブレーキを掛けているとも解釈できますが。

それで後半なんですが、侑が燈子に顔を近づけて揶揄うようなシーンが良かったです。今まで燈子の推しに流されていたような感じだったので、少し対等な関係になれた気がします。

ヒロくんが来ることで父も喜んでいるという侑に燈子は複雑な表情を浮かべるシーンは、自分が女性であることの引け目と取れます。ここはこのアニメに重要なシーンだと思っていて、「男子がいる中でも女子を選ぶ」のがこのアニメのコンセプトですから、女性であることのハードルの高さは必ず描くべきでしょう。姉に彼氏がいるのもこれを意識したものだと思います。

しかしやっぱりこのコンセプトであれば、聖司は傍観者でなく侑を好きになるべきで、それで最後に燈子を選ぶというシナリオでないとダメだと思います。百合アニメって男が出てくると拒否反応を示す人が多いので、こういう立場になっているんでしょうが、なんか中途半端な印象を受けます。まあ後々好きになるのかもしれませんが。

燈子の「そういうところが心配なんだけど…」は、侑が他の人から必要とされれば去っていくから心配という意味でしょうが、「でもそういうところが好き。」の解釈は色々と考えられます。優しい侑が好きというのが無難な答えだとは思います。ただ、燈子が侑を好きになったきっかけを考えると、侑の前では特別にならなくていいからで、なぜ特別にならなくていいかというと侑は誰も特別に思わないからです。

侑(わたしの前では特別になろうとしなくていいよってもう言ってたんだ、わたし。…これが、先輩の特別…。)

だから、この台詞は侑は自分も含め誰も好きにならないという意味で安心する台詞だったと解釈することができます。

燈子「小糸さん。付き合ってなんて言わないから。小糸さんは誰かを特別に思えないって知ってる。私のことも好きにならない。それでいいの。…だから、好きでいさせて。」

ここから出発している限り侑が燈子のことを好きになっても2人は付き合えないでしょう。もしこの時点で燈子が付き合いたいと思っているのなら、私はやっぱり燈子の気持ちが全く分かりません。私の見方が悪く、途中で好きという気持ちの内容に変化が生じたのかもしれませんが、そのシーンが私には分かりません。