東京オリンピックの野球の出場国数が6カ国のせいで変則すぎるトーナメントになる
2020年の東京オリンピックの日程が少しずつ発表されています。日本の近年の酷暑および多湿な気候を踏まえて開催時間を更に繰り上げるなど、選手にとって競技しやすい環境を作ろうと様々な取り組みがなされています。しかしながら、7月末に開催するというマスコミや利権団体どもが一番儲かりやすい日程は崩せないので全然アスリートファーストになっていないというのはいろんなメディアでも報じられている通りです。
ここではそういう腐敗したIOCやその他諸々の機関および開催国の日本については語るつもりはありません。今日野球のグループリーグおよびトーナメント方式が発表されたのでそれについてです。
東京オリンピックの野球の大会方式
まず決勝トーナメントについては、ダブルエリミネーション方式と呼ばれるものの仲間で、1回負けたらそこで敗退となる普通のトーナメント方式(シングルエリミネーション方式)と違い、2回負けたら敗退となる方式を採用している。この方式は組み合わせによる有利不利が少ない(例えば一回戦で強豪に当たっても敗者復活できる)という利点がある。
この方式は、ビーチバレーや将棋の棋王戦などで使用されている。ワールドベースボールクラシックでもかつて予選リーグで採用されていた。ただ今回の場合は、A組3位とB組3位は負けると敗者復活できないので、変則ダブルエリミネーション方式とも言えるだろう。
さて、このダブルエリミネーション方式自体に関しては別に文句はない。問題はこの前に総当たり戦のグループリーグが存在することである。しかも、そのグループリーグは3チームで1組が構成されており、つまりグループリーグで勝とうが負けようが決勝トーナメントに進出できるのである。
変則ダブルエリミネーション方式の問題点
グループリーグ1位通過の旨味が少ない。相手の組も順当に行けば一番強い国が1位通過するので、最初から強豪と当たることになる。これで勝てば、あと2回勝てば金メダルだが、負ければ2位通過と同じ敗者復活ブロックの一番下からやり直しになり4勝しないと金メダルを獲得できない。一方3位通過すれば、3位通過の弱小チーム相手に決勝トーナメント1回勝てばあと3勝1敗以上でも金メダルが狙える。(ただし負けるとそこで終わるというリスクはある。)
つまり相手次第では、3位通過を狙った方がいいという場合も出てくることがあり、ワールドカップ日本代表を彷彿とさせるような敗退行為をしてしまうチームが現れないとも限らない。そして結局はグループリーグの存在する必然性が全くない。勝っても負けても決勝トーナメントに出場できる緊張感のないグループリーグなど誰が見たいと思うだろうか?
なぜこんな気持ち悪い大会形式なのか?
まず主催者側はある程度試合数を確保したいというのがあるだろう。現状の総当たり戦+変則ダブルエリミネーション方式だと合計16試合になるが、総当たり戦がない場合は11試合になる。日本戦について限って言えば、最小で3試合で優勝してしまう可能性があるが、この変則トーナメント方式では最小でも5試合、最大7試合も組むことができる。ただし東京五輪組織委員会は経費を抑えるため計6試合のトーナメントにするように要請していたので、組織委よりも野球やソフトボールの連盟の希望だったのだろう。
そもそも参加国が少なすぎるという問題がある。なぜ参加数が6カ国しかないかというと、IOCから追加競技の合計選手数が500人以内に抑えろという指定があったからだ。東京オリンピックでの追加種目は「野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン」なので野球とソフトボールは6チームが限界だった。
ただ、野球というスポーツは世界的に人気がないので別に枠が無制限になったからと言って、ワールドカップのような大規模なイベントは到底望めない。野球が世界的に人気がない理由は
- 専用の球場が必要
- 専用の高価な用具がたくさん必要
- 競技時間が長くテレビ向きでない
- ルールが複雑で取っつきにくい
などがあると思うし改善も不可能なので、これからも日本やアメリカなど一部の国以外では衰退していくだろう。
どういう形式にすればいいのか?
グループリーグでどんだけ負けても決勝トーナメントに行けるのはあまりに興醒めなので、6カ国の総当たりでいいと思う。この場合は総当たりで15試合。総当たりで決まるのが嫌なら、これに加えてステップラダー式トーナメント(総当たり2位と3位が戦って勝者が総当たり1位と戦うクライマックスシリーズ方式)をすればいいと思う。この場合は17試合となり、試合数はほとんど同じになる。