ABC予想と宇宙際タイヒミュラー理論
京都大学の望月新一教授が5年前に発表したABC予想を証明した論文が正しいことがついに認められた。
上記記事ではABC予想はフェルマーの最終定理やポアンカレ予想の証明に匹敵する業績と書かれてあるが、これは理解が浅い。ABC予想を用いればフェルマーの最終定理は数行で証明できる。いわばABC予想のおまけがフェルマーの最終定理なのである。
したがって望月新一教授はとんでもない天才である。今世紀最大の天才であると言っても全く過言ではない。地球から見たアンドロメダ銀河くらい遥か彼方の人だったとしても、凡人でも一歩でも天才に近付きたいということでABC予想とその証明について書いてみる。
ABC予想とは
ABC予想
ABC予想自体は中高生の数学で理解できる。
a + b = c
を満たす、互いに素な自然数の組 (a, b, c) に対し、積 abc の互いに異なる素因数の積を d と表す。このとき、任意の ε > 0 に対して、c > d1+ε
を満たす組 (a, b, c) は高々有限個しか存在しないであろうか?
これがABC予想である。
aとbが互いに素とはaとb両方を割り切れる数が1しかない数の組み合わせのことである。例えば(a,b)=(1,2)はどちらも1でしか割り切れないので互いに素、(a,b)=(2,4)は1と2で割り切れるので互いに素ではない。
例えば(a,b)=(1,8)を考えてみよう。このときc=9である。このとき積abcの互いに異なる素因数の積とは
abc=1*8*9=1*(2*2*2)*(3*3)からd=1*2*3=6となる。
素因数とは素因数分解(ある整数を素数の掛け算の組み合わせで表現すること)したときの個々の要素のことだ。素因数分解は現在のインターネットで通信するときの暗号方式に利用されている。量子コンピューターは素因数分解を簡単に解くことができ、完成した暁にはインターネットの安全性が脅かされると言われているがそれはまた別の話。
ABC予想の話に戻ろう。(a,b)=(1,8)の場合はc=9,d=6となりc>dとなる。では(a,b)=(1,4)の場合はどうなるだろうか。
c=1+4=5
abc=1*(2*2)*5からd=1*2*5=10になる。
この場合はc<dとなった。
色々試してみるとなんとなく分かるがc<dとなる場合のほうが多い。しかし実は色々調べてみるとc>dとなる(a,b,c)の組は無限に存在してしまうことが分かっている。しかしながらABC予想はこれを1+ε乗すれば
c > d1+ε
を満たす(a,b,c)の組は無限に存在しないことを予想している。εはすごく小さい数を意味する記号で、dを1.00000001乗でもすればc>dの無限性は失われると言っているのである。
フェルマーの最終定理との関係
フェルマーの最終定理は以下のような定理である。
フェルマーがこれを書いた欄外に「この定理に関して、私は真に驚くべき証明を見つけたが、この余白はそれを書くには狭すぎる。」と記したことから、定理の理解しやすさやミステリアスさもあってよく取り上げられる数学未解決問題だった。フェルマーの最終定理の最終定理自体は2002年にワイルズによって証明された。
これをABC予想を使って証明したい。
まずはABC予想を少し書き換える。
任意の ε > 0 に対してある K (ε) > 0 が存在し、全ての(a, b, c) についてc < K(ε)・rad(abc)1+εが成り立つ
d=rad(abc)と書いている。意味は上のABC予想と同じだ。
εは0以上のどのような数に対してもABC予想は成り立つのでK=1,ε=1のときも成り立つとする。
zn < rad(xnynzn)2 = rad(xyz)2 ≤ xyz2
(a,b,c)の中でcが一番大きいので
zn < xyz2 < (z3)2 = z6
つまりABC予想を満たすならばn < 6でなければフェルマーの最終定理は成り立たないと言っているのですが、n=3,4,5の場合は300年以上前に簡単に証明されているので、3以上のすべての自然数nについてxn + yn = zn となる自然数の組 (x, y, z) は存在しないことが言える。
宇宙際タイヒミュラー理論
望月教授はABC予想を証明するために全く新しい手法を用いた。それが宇宙際タイヒミュラー理論である。
わかりやすく解説した動画があったので貼っておく
宇宙際タイヒミュラー理論 イメージ映像 IUTeich image video
意味不明である。スクリーンセーバーにしか見えない。
そもそも宇宙際タイヒミュラー理論は難解すぎて世界の数学者も合ってるかどうかずっと分からなかったのだし、今でも理解している人は数十人しかいない。そんなものを自分が解説できるわけがないのである。
ただ悔しいのでふわっとした理解でもいいからと色々調べてみた。
まず「宇宙」とは物理学的な宇宙ではなく、議論領域のことを指す。「際」は宇宙を行ったり来たり出来るようにすることを意味している。望月教授は宇宙は入れ子構造であるという発想からスタートしたらしい。それぞれの宇宙はΘ関数と呼ばれる関数で行ったり来たりすることができる。Θ関数という橋を通って他国と行き来するようなイメージだろう。
ABC予想は足し算と掛け算に関する問題だということが出来る。足し算や掛け算のことは数学用語で環と呼ばれる。この環構造を一回分裂させて異なる宇宙を作る。異なる宇宙同士はズレが有る。(法則のズレと言い切っていいかは不明)。これは国同士で文化がズレることに例えられると思う。また入れ子構造になった宇宙という文脈を加味し、マトリョーシカを考えると、外側の人形と内側の人形は違う人形でそのサイズにズレが生じているのと同じものだと自分は考えた。他の例ではジグソーパズルに異なるピースをはめるときのズレを計算するとあった。こっちは数学者の加藤文元教授のたとえなので正しいと思います。宇宙際タイヒミュラー理論はこのズレを計算できる。宇宙を復元するときに、このズレを計算する。そうしたときズレを起源として導かれるのがABC予想の不等式らしい。動画は宇宙を分裂させ、それをまた復元しようとする過程を示しているように見える。
分かったでしょうか。自分は全く分かりません。天才には一歩近付くことも難しいようです。
この文章を書くためにいろんなサイトを参考にしましたが間違っている可能性が大いにありますので他人には披露しないでください。
12/16 ABC予想の説明の一部にミスがあったので修正しました。