映画『天気の子』 ネタバレ感想 -『君の名は。』より数段落ちる
7月19日より公開された『天気の子』を鑑賞してきました。今作は監督が賛否両論になるとのコメントを残しているのが話題となっています。それはおそらくラストに東京を水没させることより愛の方を優先しているからなのでしょう。しかしながら、個人的にはそこは特に引っかからない部分ではありました。世界よりヒロインである陽菜を救うことを優先する物語ではあるものの、世界の命運を本当に彼らが決めてしまったようにはあまり思えない。最後に陽菜を救う選択をしなかったとしても東京が水没する未来になっていた可能性は否定できないのではないでしょうか。東京が水没することによって、亡くなる人がいるだとか被害としてどれだけの規模になるかとかも示されていないので、主人公たちは別に罪を背負っている感覚もありません。数年越しに主人公の2人が再会するラストシーンは混じりっけなしのハッピーエンドと言って差し支えなかったように感じました。
あらすじ
離島から東京に家出してきた少年・帆高は東京での生活に行き詰まり、行きのフェリーの中で出会った編集プロダクションの代表である須賀を頼り、ライター兼雑用として事務所に住まわせてもらうようになる。
オカルトの情報を探すうちに100%の晴れ女の情報に行きつく帆高。その後、以前東京を彷徨っているときに自分に手を差し伸べてくれた少女・陽菜と再開する。そして彼女が100%の晴れ女であると帆高は知る。
帆高は彼女と一緒に晴れ女の力を使ったビジネスを始める。それは軌道に乗り始めていたが、陽菜には異変が。時を同じくして、帆高を探す警察の手が伸びていた。そして姉と弟だけで暮らす陽菜たちも保護されようとしていた。3人の逃避行が始まる。東京の天候も異常を極めていく。
警察からの逃避行の末にホテルになんとか身を隠した3人。そこで帆高は陽菜が人柱であることを知る。東京の異常な天候を回復させるためには彼女が消えなくてはならなかった。翌朝、帆高の傍らにいたはずの少女の姿はなく、空は晴れていた。
ホテルには警察が乗り込んできて、残った2人は確保されてしまう。帆高は警察署から陽菜と出会うために逃げ出し、須賀の助手である女子大生・夏美の手も借りながら、なんとか陽菜が天気の子としての能力を授かった鳥居のあるビルにたどり着く。
しかし、そこでは大人たちが彼の前に立ちはだかる。帆高はそれに反抗する。須賀や陽菜の弟・凪の力も借り、なんとか鳥居にたどり着いた彼は空の上で再び陽菜と出会う。
2人は地上に帰ってきた。それと同時に東京にはずっと雨が降り続くようになった。2年半後、高校を卒業した帆高は水没した東京に戻り、陽菜と再会する。
感想
最初に断っておきますが、かなりつまらなかった。そう感じた人の感想です。前作である『君の名は。』がなんだか綺麗すぎる物語だったせいなのか今回の作品はカウンター的にダーティーな物語であったような気がします。やはり前作よりは今作のほうがこの監督のカラーというのが色濃く反映された作品ではあるのでしょうが、個人的には新海誠のセンスがあんまり好きになれないと感じてしまう。リアルな東京の町並みの描写が私には不快にしか感じられなくて、まず最初にきつかった。会話の端々には悪寒が走り、出てくるキャラクターはあまり好きになれない人物が多く、ストーリーもなんか刺さる部分がまったくなかった。これは私個人の感覚でしかありませんが、やりたいシーンの羅列でしかなく、軸のあるストーリーであるようにはどうしても感じられない。結局一番の見どころは曲がかかるシーンであり、長めの余計な部分が多すぎるMVのような感覚。そして新海誠の作品の看板である映像美に関しても、はっとさせられるような場面は殆ど見られず、劇場にいるのが割と苦痛に感じてしまった2時間でした。ぶっちゃけ本編を見ずに予告編だけを見ている方がましだったんじゃないかと思います。実際、予告編だけならすごく面白そうです。
映画『天気の子』予報②